自作短編
よどんだ雲とわずかに映える青の空 動き出す電車に揺られながら ドアから風の冷たい手が わたしの顔肌に触れる 思わず鼻をすすって、待つ ストンッ あったかいおでんが、わんさかやってきた
黒く新装したアスファルト 打ちつける雨粒 反射する白い街灯が 花火に似て美しい 車線をゆく自転車はそぞろと 雨避け小さな光を放つ 水は飛び跳ねて、楽しくパチパチ 続けざまに 線香花火
UNIQLOの品定め たかが知れてる されど見さだめ 試着しても さりとて買わぬ 意固地さよ
テラスのベンチに腰を落とす 華奢な身体と白い肌 ベビーカーを押す女性達 石畳を見渡す 停止した時間が巻き戻り 手に広がる 19世紀のイギリス
常識はありとあらゆるところに 浮かんでは消えて、また浮かぶ 私たちのものさしだ これがないひとはいない 「常識人」という言葉は かぎりなく平坦だ 快いものでも不快もではない でも、凝縮された快や不快ではない 常識が崩れたら 凝縮された快と不快を覚え…
無秩序なモノの配置 健康に良くない そしてなにより、だらしのない 当の本人は 頭の無秩序をここに表すのだと 置いてあるモノはカタチだ それには意味はないが、存在を感じられるのだ