itoh-imaginary0205のブログ

ゆかしい雑記物。はたまた備忘録。

"Tigers"(2014) 獰猛なセールスマン

 

”汚れたミルク''(2017)を観ました。この映画は、粉ミルクを売りさばく多国籍企業の実状に、ひとりの男が告発する過程を描いたものです。実話をもとにして制作されたものです。

 

公式サイト

映画『汚れたミルク/あるセールスマンの告発』公式サイト|2017年3月4日(土)、新宿シネマカリテにてロードショー!

 

粉ミルクの使用を適切におこなうには、需要側の衛生環境が伴わなければなりません。乳児の発達に支障をきたすという最悪の危険を孕んでいます。

また、それを知らずして企業側が売っているとなると、倫理的、社会的責任が問われる問題となります。

ネスレ製品が原因で起こった「ネスレ-ボイコット」は、こうした健康被害に対する抵抗運動と言われています。

 

ネスレボイコットについて↓

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ネスレ・ボイコット

 

分かりやすい多国籍企業=「巨大な組織」vs「元社員」という明確な対立構図が展開されていますので比較的頭に入りやすい話です。

この題「Tigers」について。これは、新規採用の説明会的なワンシーンと、主人公と妻のカットに出てきます。セールスマンを虎に見立て、医者やその周囲の従事者の顧客を獲得する =「狩り」を象徴しています。国産の商品は後景に退き、国際資本が幅を利かす市場の生存競争を印象づける言葉だと思いました。

この映画の肝は、多国籍企業への告発は「既に棄て去った過去ではなく、それがなされるまで粘り続けなければならない現実にある」ことだと思います。(映画のセリフに似た表現あり)

映画の結末は明らかにすっきりした終わりではありませんし、展開の静かなフェードアウトが効いてました。

少し残念に思えたのは、告発中の展開があまりにも少なく、ことさら冗長だったことです。主人公の表情もなぜか変わらない気がして、それも残念(退屈)な気分になった理由の1つでした。粉ミルクの事件に更なる2次被害とかあったら面白かったと付言しておきます。

 

しかし、『人生に賭けてまで告発を起こしたり、続けられますか?』という問いが示唆されています。それはこの映画で痛切に感じ取れるかもしれません。