itoh-imaginary0205のブログ

ゆかしい雑記物。はたまた備忘録。

(2)「希望」の導き?

 

今日は自民党の次に「希望の党」を簡単に整理したいと思います。というか、今日の話は、政治理論?思想?なのかな、それをピン留めすることを目的にします。希望の党を掘り下げたりはしませんし、この政党を掘り下げるほどの何かが、今は浮かびませんw

余談ですが、もう選挙日まで残り2日となりましたね。台風の影響で日程を繰り上げるなど、乱戦ならぬ天候に嫌われた選挙になりましたね。台風の目は、自民党ですね。これは相違ないです。台風一過の天晴れでしょう。

さて、希望の党を改めて見直すと、他党との公約の顕著な違いはどうして生まれたのだろうかと思います。例えば、ベーシックインカムという現金給付型の制度です。率直に先進的すぎて現実味が薄く、有権者が離れてく可能性もあったわけです。小池氏はその政策についての説明は少なく、実際のチラシにも載せてなかったという具合です。

以下、参照。

希望の党「ベーシックインカム公約」発案者を直撃——実現可能性を検証した | BUSINESS INSIDER JAPAN

上に参照したサイトにも書いてある通り、この発案者の意図が通じていなかったという点もまた、重要だと思います。

実現可能性は置いておき、ベーシックインカムは、簡潔に言えば「国が生活最低限のお金を与えて、自由な目的のもとに使う」ことです。この自由とは、単に労働をしない、も目的に含まれます。

ようは、使う人の価値観次第なのです。スタートラインは保証して、あとは自由なゴールを目指すようなものです。(かつて、そんなCMあったような?…)

だから、「再分配」政策でありながら、「新自由主義」に親和的な性質も併せ持っているということになります。

 

私も詳しく知らないので、今回はピン留め程度ですが、ブレグマンの『隷属なき道』(文藝春秋 2017)が参考になるそうです。今日はこのへんで。

 

隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働

隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働

 

 

 

 

 

「安倍首相」を眺める

(1)自民党に関連したお話です。

政治の基本から、「安倍首相」を眺めていきたいと思います。ブログなので普段通りリンク貼り付けたり、自由にやっていきます。いつも駄文ですが、読んでくれる方の何らかの刺激になれば幸いです笑

 

自民党と内閣の連結?】

内閣と衆議院の関係についておさらいします。当たり前ですが、衆議院の与党ー首相の関係は多数決で一貫しています。より具体的な図式に示すと、

 

有権者 → 与党 → 首相 → 内閣」

                                     (→の方向に選出)

本質的に考えると、多数決で決められた政党の党首が首相に変貌します。そして続投が矢印に沿って必然とすると、民意を「蓄えられているか」が必要です。

支持率をみますと、2017年の6月ー7月に逆転。その後は40%を分け合う状況です。内閣不支持が支持を上回った時期は2015年8月で、他は50%台で推移しています。不支持が急増する激しい変化もありません。

内閣支持率 | NHK選挙WEB

 

政権交代の視点からは、どうでしょう。以下は政権交代を野党から説明せず、内閣の支持率との関係性で示している記事です。
東京新聞:内閣支持率と獲得議席の関係 不支持6割で政権交代契機:政治(TOKYO Web)

 

政権交代に達する「6割以上」の内閣不支持がない限り安倍首相は続きます。裏を返せば、不支持で支持もしない層が漂流するほど首相に追い風になっているのでしょう。

首相の在任日数は2017年5月の時点で小泉政権を抜き、歴代5位を記録しました。【安倍政権考】在職日数歴代5位の安倍晋三首相 「1強」続けて新憲法施行? 高支持率維持の秘訣は… - 産経ニュース

 

これほど続いてきた安倍首相はどこで評価できるでしょうか。在任中の選挙「4回」を勝利に収めたので、今回の5回目の勝利で理屈を超えない信任を得ることになるでしょう。

解散権を行使した選挙を数えると、5回中2回で1つは2014年の消費税再引き上げの是非(2017年4月に10%)。もう1つは今回の幼児教育無償化に増税分に充てる是非(10%の使途)、となります。

「国難突破解散だ」 安倍首相が解散を表明。会見で何を語った?【全文】

 

今のところ、解散権で問われている信任ではなく、支持が落ち込まないうちに解散する「延命措置」のようです。(前のブログ記事でも参照。)

しかし、だからといってこの増税に関する選択は、有権者の党選択とリンクしているので全面的に否定しえないものとなってしまいます。

この結果、はじめに述べた矢印の特に「与党→首相」が弱体化している感じがします。

本質的な「与党→首相」の経路は、党や解散権など統制の権力、そしてポピュリズム的な話も加わります。後者のようなパーソナリティは、安倍首相のナショナリズム志向が特に挙げられます。前者の統制の権力を使いこなす場合では、首相の持続性が保障されるかわり、矢印が腐らない経路の活性化が必要です。それがないと、有権者委任の本質的なものの妥当性に及んで、首相の存在感に足るか?と感じる層が生じる気がします。

制度的に考えると、総裁任期=首相任期であるので、総裁任期延長がそのまま首相へと通用されていきます。確かに支障はない修正とも、例外者への対応案ともいえるのでしょう。

http://www.asahi.com/sp/articles/ASK353DVPK35UTFK001.html

 

しかし、対抗馬の見えない三期9年に疑念が残ります。制度的な補強が後継に必ず影響を与えると思います。どう判断するか勝手ですが、民意の即応性に乏しく、なし崩しみたいに首相を強化する方向に移っているように私は思えます。

派閥のように、党内部での首相交代機能がすでに衰退していると考えると、党のなかでアピールの場を設けるほかに、その人自身の力量が問われているのでしょう。

 

(参考・参照文献)

 

 

自民党―「一強」の実像 (中公新書)

自民党―「一強」の実像 (中公新書)

 

 

 安倍首相を透かして眺めました。

どうも、イメージ先行で書いているので、いつも通り噛み合わない乱文でした笑

そして、いつもイライラしているような批判ばかり浮かんでくるのはなんででしょうかね笑。政治の物足りなさから来るのでしょうか。

書いても際限がないので、この辺で終わりまふ。

 

 

各党の動向(1)自民党

(1)の続き。教育の無償化や社会保障についての要旨をピックアップしました。

以前の2014年の自民党公約では、どのように書かれているでしょうか。

各分野のスローガンは「○○を取り戻す」でした。初めは誰から取り戻す?と思ってました。何時の主体が明白ではないですからね。まぁ民主党政権の失敗を意識した結果でしょう。

当初、右派的(ナショナリズム)な教育の制度化が物議を醸しました。つまりナショナリズム的なイデオロギーを前面に主張してメディア批判を浴びたようです。具体的な公約によれば、日本文化に対する道徳教育や高校での新しい「公共」科目の設置などが掲げられました。合わせて二項目あります。

なお、メディア批判を単に鵜呑みしてはいません。しかし、いじめに関する政策課題と併記しているのが気になります。二項目に続けて、後ろに五項目を追加しています。「いじめ」の政策課題と「イデオロギー」を連動させている意図は何だったのでしょうか。社会問題になったからといって、「道徳教育の欠如≒いじめの問題」となる確固たる理由(根拠)は見つからないと思いますが。また、間接的に当てはまるかどうかについても、議論の余地があるのではないかと感じました。

 

《公約ピックアップ》

生活保護の見直し(国費8000億円ベース)

・公務員の総人件費の削減少なくとも2.8兆円を超える大胆な財政削減

社会保障における公費負担は消費税収を中心に、保険料負担を極力抑えて国民のニーズに対応

 ・消費増税は来年の秋をめどに実施

 ・官民格差を是正する被用者の年金一元化、受給資格条件の緩和、受給時期選択の弾力化

・「若者支援」「結婚」「出産」など家族を幅広くした「家族支援政策」の実施

 ・待機児童の解消のため、処遇改善による保育士の確保など即効性のある政策を実施する

 ・年少扶養控除の復活

・幼児教育の無償化、高校、大学の給付型奨学金制度の創設

・高校の無償化は、所得制限を設け「公助」の対象になる人にのみ支援

 参照2014年自民党政策BANKより

保育士、幼児教育の無償化や待機児童問題は公約2014にも書いてありました。したがって具体的な数字は、公約2017で出てきたようです。公約2014は税収と社会保障をセットに、国民のニーズ対応としておおまかに提示していました。公約2017では、「子育て」を軸に投資すると主張した点に差があります。しかし、包括的になる反面、社会保障内部の強調点を移しただけで説得力に欠けているのではないでしょうか。内訳が変わったなら注視すべきことでしょう。

蛇足ですが、意外に削除や追加された公約に注意が向かないこともあります。公約2014に「天下り根絶」があったのに2017には削除されています。他方で、参議院改革(都府県1人の地域代表制を採用)が新たに加えられました。このへんはいかにも曖昧ですね。

以上の政策に対する業績の判断は専門家でない限り、総合的にも難しいと思います。有権者がふつうに、私たちの身の回りの変化で良かったかどうかで判断するのが良いと思います。

(関連)

データで見る!「アベノミクス」の5年間の実績|衆議院選挙公約2017|自民党

 

二つの政権交代: 政策は変わったのか

二つの政権交代: 政策は変わったのか

 

 

ちなみに「憲法改正」の話は、善悪の二元論ではないと私は思います。自民党は結党時からの党是ですから、悪と言えば済む話ではないです。改正する、しないの説得的理由をあげて欲しいです。現状否認型だと単にリベラル(自由)ではない気もします。

たとえそうならなくても、予備的な国民投票が最も期待されていくかもしれません。

 

(ちょっと疲れたので、また次回にしたいと思います。)

 

 

衆院選2017の所感。各党の動向(1)

f:id:itoh-imaginary0205:20171013175043j:image

 (駅構内に張り出された選挙ポスターが並ぶ。)

 

希望の党の失速?という感じのニュースを見かけましたので、小池氏の影響力は弱くなりつつあるのでしょう。正確には判断しかねますが、下の記事の通り、野党の立憲民主党と票が割れるのはほぼ確実です。

自民堅調、希望伸びず立憲に勢い 朝日新聞情勢調査概況 - 2017衆議院選挙(衆院選):朝日新聞デジタル

また、地方でも共闘が機能していないといったメディアの報道があるので、ここでも足の引っ張り合いが想像されます。

 <衆院選秋田>希望の2人連携暗雲 合同演説目も合わせず、溝埋まる気配なし (河北新報) - Yahoo!ニュース

野党全体が不利な状況は、首相が解散する以前から変わりません。選挙とはふつう政治家全体に緊張を与えます。90年代に小選挙区制に移ってから一者総取りに変化し、かつての自民党候補にも脅威でした。

ですが今では官邸の集権化もあって、七条解散が「伝家の宝刀」の強化版に映るようになっています。恣意的かどうかは明確にできないのは承知です。

(社説)首相の解散権 「伝家の宝刀」再考の時:朝日新聞デジタル

現状、急場で党を盛り上げて構築するのは難しいと思われます。党に所属するのは人ですから、再選可能性を賭けて対立が激化するのは仕方がありません。そして、党をまたぐ行為が平然と行われます。

ともかく、党を受け皿として人を囲められない事情が関係しているのでしょう。結党しておよそ20年の民進党の代表が退出するほどですから。政党自体の強度も下がるばかりです。結局、日本は小選挙区制を扱いにくい政治文化なのでしょうか、よもや考えようがありません。 

ただ一方で、民進党の再結集という表明も出ました。

民進、衆院選後に再結集の動き…希望伸び悩みで (読売新聞) - Yahoo!ニュース

 参議院議員民進党のまま4年以上が任されているので今後の国会運営を優先にした形でしょう。一体性ある党の議席のために必要です。

なるほど、再々編といったところですか。無所属で出ている方も取り戻すのでしょうか。彼らも出戻るのであれば、蓮舫前代表時からの党内の一新、刷新への試行錯誤から遠のく?とも感じます。

(個人の勝手な私見です。)

しかし、議席を伸ばせるか否かは、党の再編だけではなく、(自民党及び首相)業績に対する反対票だと思うので、さほど期待なく終わりそうです。

 よって今後の戦略として、野党は醜いも、健全なモンスターに変身せざるをえません。そして絶えず連立を譲歩させるほかありません。なぜならそれが公明党崩しになる可能性があり、目標は政党単位でない国会全体への再編です。今回の最大の障害は、有権者の「棄権」です。不信を残す選挙を少しでも減らせるのは野党しかない、棄権は行く宛のない手紙、そう私は思います。

圧倒的有利な自民党に脅威を与えて欲しいので、初心に舞い戻って野党を檄しました。投票率が下げて、散在した不信を増やすより、野党が統合されることの延長線に投票行為は存在すると願う方が望ましくはないでしょうか。解釈は色々あるので、異論は当然ありましょう。

 

 各党の動向(1)

次に各党の公約等を挙げていきます。

知識、投票の参考としてリンクを貼ります。公約を一覧紹介しているサイトは、

【衆院選(衆議院選挙)】:衆議院選挙2017:各政党の公約:選挙:読売新聞

 より詳細な議員の情報が必要なら、菅原琢さんという政治学者がTwitter2017年衆議院議員選挙立候補者一覧 | 国会議員白書(直リンク)置いていました。とても参考になると思います。

 

では、最初は自民党をみます。今回は公約を挙げて(2)から続きにします。公約は以下です。

【衆院選】自民党公約要旨(1/5ページ) - 産経ニュース

 関心をピックアップすると、

  • 人づくり革命

・32年度までに3~5歳の幼稚園、保育園の費用を無償化する。0~2歳も低所得世帯を無償化する

・待機児童解消のため32年度までに32万人分の保育の受け皿を整備する

・低所得家庭の子供に限り高等教育の無償化を図る。給付型奨学金や授業料減免措置を大幅に増やす

・消費税10%の増収分について、社会保障の充実と財政健全化とのバランスを取りつつ、子育て世代への投資を集中することで「全世代型社会保障」へと大きくかじを切る・29年末までに「人づくり革命」に関する2兆円規模の政策パッケージをまとめる

・財政健全化の旗は明確に掲げつつ、不断の歳入・歳出改革努力を徹底する

 

 自民党のイメージは農村優遇、年長優遇の政策がついてまわりますが、「全世代型社会保障」はかなり包括的だなと思います。働き方改革といい、耳障りの良いと思われるまでは、まだまだ幸せですけどね。

 

(2)に続きます。 

 

『神の値段』第3回

 

第二回から順次、残りも抜粋していきます。抜粋が下手くそ!と記事を書きながらに、すごく思います。ともかく気を取り直してやっていきましょう。

前回から通底しているのは、

「芸術(アート)とビジネスはどのようなバランスをとっているのだろうか?」

という問いがあると思います。美術館に展示されている作品達はもちろん価格表示して飾っているわけではほぼありません。

たしかにそうした古典的な作品はどれも亡くなっている場合が殆どで、ビジネスでやっているということはないでしょう。死後に再評価されることもあります。

しかし、現代の生きる芸術家は、そうはなりません。死活問題にもつながるのです。そこで、アートが存続する本質を覗いてみたくなります。現代に存在して、初めて歴史的に古典も揃って認められるのですから。

では、残りも続けたいと思います。

 

4.の続き、唐木田のセリフ。

 

「そうです。昔はアートを買うというのは、賽銭箱にお金を奉るようなもんでした。自分の信じる神にお金を払うことで、その下で働くスタッフの生計や、神社を綺麗に保つ資金にしてもらって、ささやかな願いを込めるという習慣を楽しんだ。…」  (p.247)

 

5. 川田無名の過去の原稿

 

信仰とは、社会一般に行き渡った、慣習の結晶である。個人が信心深いか、教養があるか、とは無関係に、共通語彙、又、能記として、地域や民族が覆う。墨の文化は、国という枠組みで輪切りにされ得ず、周辺の歴史と複雑に関係する、視覚的言語である。 (p.250)

 

6. 無名を好む中国人の一大投資家、ラディと私(主人公)のやりとり。

 

(ラディ)「ゲームですからね。ルールはあっても目的はないのかもしれない。美術品を集めるのは、究極の道楽です。金のかかるゲームであり、一種の宗教みたいなものだ。いえ、冗談ではありません。先生は私の神で、私は先生の信者だ。だとすれば先生の作品はさしずめ、信仰の商品化かな」   (p.297)

 

「…アートを買う気持ちというのは、好奇心が強く柔軟で、車や宝石では満たされないんです。だからこのゲームに嵌まり込んでしまいます。上がりがあるかどうかも分からない、ただ神を求めるゲーム、悟りを求めるゲームが、長い歴史にわたって文化として営まれてきました」 (p.297)

 

7.わたしの父の言葉。

 

(価格と値段の違いとは)

「価格というのは、需要と供給のバランスに基づいた客観的なルールから設定される。一方で値段というのは、本来価格をつけられないものの価値を表すための、所詮比喩なんだ。作品の金額というのは売られる場所、買われる相手、売買されるタイミングによって、常に変動し続ける」 (p.337)

 

 8. サインの意味

 

(私)「…というのも、1917年に(マルセル・)デュシャンが既製品であるトイレの便器にR.Muttというサインを入れただけの物を作品だと主張したことで、サインがそれまでとは全く別の意味を帯びるようになったんです。それまでサインといえば、たとえば版画のように同一の作品が量産できる場合において、主に真贋鑑定の大きな手がかりとして機能していました。しかしデュシャンが便器を発表して以降、真贋鑑定の判断材料としてだけでなく、完全に作家の手で制作されたものでなくても真作だと認めさせる魔法として機能するようになりました。…」

 

 

以上で終わりです。ふぅ、長かった。

それにしても、「アート」、「芸術」、「美術」この3つはどう区別できるでしょうか。とりわけ横断的なのでしょうか。この小説を読んでいても、その謎は解けてなかったような気がしますので、今後の調べに任せようと思います。

けっこう抜粋するだけでも面白いですね。意外とありきたり?な内容ですが、知らない世界も感じて、ついつい記事を連投してしまいました。

みなさんはどうお感じになったでしょうか。

 

『神の値段』第2回

 

第2回は、引き続きセリフや表現の各シーンを抜粋しました。私個人の印象に残った言葉の数々なので、あてにならないかもしれません。ですが、もしこの本を手に取る機会があってもなくても、本を読み、あなたの印象に残った言葉を連ねてみるのも面白いと思いますよ。

 

⚠︎以下は、ネタバレ覚悟のものです。情報を入れたくない場合、純粋にこの記事を読まない方が賢明です。私は前情報をあまり入れたくない派ですが、取っ掛かりがないので少し残念に思うこともあります。実のところ、私にはどっちがベストなのか未だに分かりません。

 

 

ページ数は、最初に出てきたものを挙げています。

 

1. ニューヨークの一流ギャラリスト(川田無名の新作作品を直接預かって販売するギャラリーのトップ)、ジョシュア。

 

アーティストに餌をやると、指を噛まれる」    (p.123)

 

2. 唯子の夫、銀行員の佐伯と私(主人公)のやりとり。

(私)「どうしてラディさんや他のコレクターだちは、あんなに高価なものをいとも簡単に買えてしまうんでしょうか」

佐伯は頬杖をつきながら笑った。

(私)「でもいくらお金持ちだからといって、数億円を支払うわけですから、そこに躊躇はないのかなと思うわけです。ましてや、それは一枚の絵なのにどうしてそこまで支払えるのか、と」…略

(私)「でもアートを買う動機って、単に投資だけじゃない気もしますけどね」

(佐伯)「そう思っている限り、うれないだろうね。たしかに優れたアーティストは守られるべきなのかもしれない。でもアートは社会奉仕だと信じて寄付を募ったところで、ぬるいラブアンドピースしか生まれない。」    (p.165)

 

3. 川田無名のアトリエで働くスタッフ、白山。

 

「実は僕、土門さんの気持ちも分からないではないんです。だって不思議なもので、こうして毎日紙という素材に向き合っていると、次第に先生はこの紙そのものなんじゃないかって気がしてくるんです。…略 。

人はそれを気が狂っていると言うのかもしれませんが、考えてみれば本来白い紙というのは、聖域の象徴なんです。白い紙がいったん注連縄に付けられると、神域と現世を隔てる結界の役割を果たします。また榊の枝につけられれば、玉串となって人や土地を清める祓具に生まれ変わる。

…もともと白というのは神聖な色なんです。」(p.195)

 

4. 川田と交流のあった、唐木田

 

「されど死ぬのはいつも他人」(p.238)

 

この言葉はフランス人の現代アート創始者(マルセル・デュシャン)が初めて使ったもの。自分で自分の死や墓を見ることのできないが、他人の死は見ることのできる。つまり、その自分の死は、いわば観念でしかない例え。

 

「金というのは記号みたいなもんで、持つ人、使う人によって、全然意味が違ってくる。無名さんにとって、金というのはいったいどんな意味を持っていたのか、私たちには分かりません。…

無論アートティストにとってもお金は大事だし、理想の作品を制作するために必要不可欠です。もっと言ってしまえば、アート自体がマーケットに支配されている部分もある。」  (p.246)

 

(残りは、第3回へ延長します。)

『神の値段』第1回

 

何日か前に『神の値段』についてブログを投稿しました。その投稿は書評みたいに紹介してないので、改めて紹介を挟みつつ、印象に残った各シーンを抜粋していきたいと思います。      (全3回)

 

『神の値段』は2016年の「このミステリーがすごい!」の大賞作品で、現代的アートを下地にした推理小説です。著作者の一色さゆりさんは、ギャラリーや美術館の学芸員を務めたり、本格的な現代の美術業界で活躍されているそうです。

ちなみに、小説後半でアートフェアが香港で開催していますが、このモデルはおそらく「 アート・バーゼル香港」という世界的に有名なアート会場だと思われます。この小説の文庫初版が2017年の1月。その2ヶ月後の3月に催されていました。

参照↓

アジア最大級のアートフェア、 アート・バーゼル香港2017がいよいよ開幕! 今年の見どころは?|美術手帖

現代の美術や芸術家の事、私は素人で全く予備の知識も有りません。ですが、この小説を読むと物凄く作家のアート愛や神聖な芸術感覚が伝わってきます。

そして本格的なアート案内書のように、多くを学べると思います。例えば、後半にオークションで出展される芸術家の面々は実際に実在しています。ネットで検索するのも良いでしょう。

最初の五点は、無名より少し前の世代の中国人画家ザオ・ウーキーの作品だった。ザオは渡仏してパウルクレーに出会い、影響を与え合ったことで有名だが、最初の一点はまさにその時期のものだった。(p.314)

 つぎに会場が熱を帯びたのは、「中国のマティス」と呼ばれる二十世紀を代表する巨匠サンユーの油絵だった。流れるような裸婦や生け花の具象画を描き、レオナール・フジタとも交流があった。(p.315-316)

 このようなアジアを代表する芸術家達が取り上げられています。

 また、アートフェアを作者はこう表現しています。

アートフェアの魅力のひとつに、美術館では取り上げられないような最新かつマニアックな作品を一度に沢山見られる、という点がある。••••

 ごく限られたギャラリーしか参加できないこのフェアにおいて、出展の倍率は五倍近いと聞いた。フェアの主催者側もクオリティを保つため、厳しい評価基準を設けて世界中から申し込んで来るギャラリーを数百に選別している。だからこそ一流のフェアに参加することは一流ギャラリーの証でもある。(p.273-274)

このように、現代アートを読者に向けて熱心に伝えています。必ず一度は足を運んでみたくなります。理解なしに眺めるも良いですが、感覚なしには観られない作品ばかりでしょう。

 ここまでミステリー的な要素を紹介してませんが、amazonなどいくつかのレビューを拝見したところ、少しインパクトに欠けるという評価がありました。ということは、作者はミステリーの緻密な伏線や犯行の巧妙さよりも、アートに対する情熱と本質を優先して感じて欲しかったのだろうと思います。

  ここからは作中に出てきた各シーンを抜粋していきます。これらのセリフや表現の数々には、何か想像を掻き立てる気がしてなりません。(→第2回へつづく)